2/19 『義足ランナーを突き動かすもの』
The New York Times:マイケル・ソコロフ氏談
抄訳・Globe記者:青山直篤氏
南アフリカのプレトリアに生まれた、オスカー・ピストリウスは、
生まれつき、両足の膝から足首までをつなぐ「ヒコツ」がなかった。
医師の勧めに従い、生後11ヶ月で、両足の膝から下が切断された。
13ヶ月で義足をつけ、17ヶ月で歩いた。
彼は今や、陸上400mの世界トップレベルの選手。この夏のロンドン
五輪出場の本命候補だ。
もし、南アフリカのピストリウスと、ジャマイカのウサイン・ボルトが、
1600mリレーに出場すれば、決勝戦は五輪の目玉になるかもしれ
ない。
ピストリウスの出生にまつわる哲学的な問いを投げかける。
生まれてくる環境や、、持ち合わせた才能によって、条件に恵まれる
ことも、そうでない事もある。
見方によっては、生まれつき足の不自由なピストリウスは敗者だ、
とも考えられるだろう。ただ彼は、南アフリカと言う、貧富の格差の
有る国で、富める側に生まれた。もし『逆側』貧困の中で生まれたら?
与えられた才能を生かし、彼の姿を想像するのは難しい。
2008年、IAAF(国際陸上競技連盟)は、ピストリウスが義足のお陰で
走ることが出来ていると判断し、健常者と走ることを禁じた。
「オスカーは、突然変異種なんだ!」とマサチューセッツ工科大学で
生物機械工学の研究グループ責任者の「ヒュー・ハー」氏は言った。
ハーは、国際陸上競技連盟の決定に異議を唱えた。
ヒューストン大学で、1週間にわたり、ピストリウスを検査した。
「義足は10年前のローテクで作られたもので、神経命令系統も、
フィードバック機能も無い!」
不服を申し立てた、国際スポーツ仲裁裁判所で証言に立ち、IAAFの
決定は翻ったのだ。
ハー氏の言う、「オスカーの尻は、巨大なエンジンのようだ。」・・と。
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